すい臓癌の抗がん剤 最新の治療法|東京大学大学 片岡教授の手法

先進医療

すい臓を高分子抗がん剤で撃退

 
 

最近の報道で、有名人の方がすい臓がんに かかられているというニュースをよく聞いた記憶があります。

九重親方(千代の富士)、ムッシュかまやつ氏、そしてアップルのスティーブジョブズ氏、そして、夏八木勲氏 もそうですね。

一般の方には、がんは胃がんでもすい臓がんでも同じであるように思うかもしれませんが、特にすい臓がんは初期に見つけるのが大変難しく、なかなか治すのが難しいがんなのです。
 
 
 
しかし、最近すい臓ガンを治す可能性がある画期的な治療法がニュースになり、東京女子医科大学と東京大学などの研究で、それは4月から治験として開始されるそうです。
 
 
 

今までのすい臓がん治療

 
 

すい臓がんも、妻の胃がんと同じで、切ることができるか、それともできないか、それが最初の選択肢になります。

そして、切除が難しいとなると、抗がん剤のお世話になるのですが、すい臓がんというと、抗がん剤も届きにくく、一昔前まではすい臓に効果のある抗がん剤ほとんどなかったといいます。

しかし、1990年代に、ゲムシタビンという 抗がん剤がヨーロッパで報告されて、その後、日本で行った臨床試験でも、かなりの効果が報告されています。
(がんの再発がなく生存できた期間が、手術だけの患者さんの中央値は5カ月程度。ゲムシタビン投与の患者さんは11カ月という報告)

その後2013年に、米国臨床腫瘍学会 消化器がんシンポジウムで、日本人の医師の上坂克彦氏が、すい臓がんに対するTS-1使用で、がんの再発がなく生存できた期間が、23.2カ月というゲムシタビンの倍の期間延長が発表になりました。

その報告内容を見てみると、うれしいことに、
 
 

「中間解析は患者さんの登録が終わって1年後、最終解析は2年後だろうと予測していたのです。しかし、1年後に亡くなられている方が予想以上に少なく、2年後の中間解析となりました。これは驚きと同時に喜ばしいことでした」

 
 

ということで、亡くなられるかたが予想以上にいなかったため、今後のことを考えて、途中で解析を発表したという内容だったようです。

ということは、まだ最終的な結果が得られていなくても、そのくらいの期間延長が見られていたということは、現在はどうなのかとても気になります。

しかし、現在の進行状況などは、私が調べるかぎりでは、まだ詳細な結果がオンライン上には、見当たりません

少し残念な気がしますが、しかし、そのような中間報告から考えると、少し期待していいような気がします。
 
 
 

そして最新治療法

 

2017年3月にニュースになった治療は、1975年に開発された既存の抗がん剤の「エピルビシン」を使ったものです。

古い抗がん剤を使うということで、残念に思うかもしれませんが、抗がん剤は古くても、技術が最新

高分子で抗がん剤をおおって投与。

すい臓がんをやっつけます。

この高分子でおおった抗がん剤(以下、高分子抗がん剤といいます)は、がんの血管は通りますが、正常組織の血管はすりぬけない不思議な高分子抗がん剤です。

その秘密は、高分子抗がん剤を決まった大きさに設計できるようになったこと。

そこが大きなポイントです。(工学的アプローチですね)

がんへの栄養を通過させる血管の壁の孔(あな)は、無理やり作った血管のためか、いびつで、孔がキレイではなく、多くは少し大きいようです。

対して、「正常な血管」の 栄養を通過させる壁の孔(あな)は、キレイで大きさがそろっています。

そのため、その穴より大きく高分子抗がん剤を作れば、がんには届くけど、普通の血管は通らない不思議な高分子抗がん剤の完成という訳です。

その高分子抗がん剤を点滴で投与して、その後、患部によわい超音波をあてます。

そうすると患部に到達している高分子抗がん剤から、抗がん剤がでてきて、がんをやっつけます。

  • ピンポイントでがんをたたき、
  • 超音波の強度も、抗ガン剤の濃度も低くて済むので、
  • 副作用がすくなく、
  • また、いろいろな抗がん剤ととめてしまうフィルターをも透過していくので、
  •  

    抗がん剤がすい臓がんにも効くのです。

     
     

    高分子微粒子の第一人者である東京大学大学院工学系研究科の、片岡一則教授の記事がありました。

    参考:テルモ生命科学芸術財団

    それが、とても心強い記事であったので、抜粋します。

    「たとえば、すい臓がんはがん細胞のまわりを厚い線維組織が覆っているため薬剤がなかなか到達できず5年生存率が最も低いがんです。

    ミセルを30ナノメートルまで小さくすることによって、がん細胞内部にまで薬を到達させることができるようになりました。

    現在すい臓がん患者を対象とした治験を行っていますが、標準治療では延命効果が3か月のところ、全例で生存期間が1年以上という結果が出ました。

    また、転移がんに関しても、ミセル製剤を使うことで、がん細胞に選択的に薬剤を放出し、リンパ節転移が抑制されるというデータが出ています」

     
     

    まとめ

     
     

    現在(2017年3月)この治療は、治験の第1次段階は完了し、次の治験の段階に移る予定ということです。

    すい臓がんの方にとっては、かなりの朗報だと思います。

    記事には数年後の実用化を目指すということ。
     

    期待したいですね。
     
     

    参考:九州大学病院 がんセンター 九州大学のがん治療

    参考:いしゃまち 「膵臓がんに抗がん剤は効くのか?最新の研究結果と新しい治療法への期待」

    参考:がん研有明病院 がんに関する情報

    参考:科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン(https://www.jstage.jst.go.jp/article/suizo/21/4/21_4_315/_pdf)

    参考:がんサポート
    https://gansupport.jp/article/cancer/pancreas/8565.html
    https://gansupport.jp/articles/pancreas

    参考:国立がん研究センター 膵臓がん(すいぞうがん)

    参考:テルモ生命科学芸術財団

    参考:日本経済新聞 膵臓がん新治療法を開発 東京女子医大など、微粒子と超音波で

    参考:東京大学  ナノDDSによる難治性膵臓がんの標的治療

    参考:東京医科大学 すい臓がんに対する取り組み

     
     

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